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日本刀とは

■武器としての日本刀

日本刀が出現したのが平安時代中期(約1000年前)です。 それまでの武器は反りのない直刀でした。その直刀に反りがつき日本刀が誕生しました。 日本刀と聞くと皆様は江戸時代に侍が腰に差している二本の武器を想像されると思いますが、それより以前の平安時代に日本刀は誕生しました。
その後日本刀は、武器としてその時代の戦闘方法に一番適した形に改良されながら進化していきますので、日本刀の姿(形)を見たら、いつの時代に作られた作品なのか判断できるのです。


■美術品としての日本刀

山城(京都)、大和(奈良)、備前(岡山)、美濃(岐阜)、相州(神奈川)の5つの土地で別々の作風が生まれます。
そして、武器としての無駄のない凛(りん)とした姿、極限まで鍛え上げられ美術品にまで高められた鉄の美しさ。折れず、曲がらず、良く斬れ、そして美しい、それが日本刀です。


平和な時は鉄自体の美しさを鑑賞し、いざ戦になると腰の一刀に命をかけるそれが日本刀です。

日本刀の鑑賞は、姿(すがた)、地鉄(じがね)、刃文(はもん)等を総合的に判断します。


■目に見えない日本刀

日本刀は平安時代より1000年の歴史があり、その歴史の中で生まれ受け継がれてきた物語があります。
歴史の中心にあった日本刀
代々家系に受け継がれいるような家宝としての日本刀
物語となっている日本刀
奉納刀等
日本刀が1000年もの間 日本人の心を掴んで離さないのは、日本刀が武器だから、美術品だからという目に見える部分だけではなく、目に見えない言葉には出来ない精神的な美しさが備わっているからだと思います。

■日本刀は怖い??

日本刀を見ると、「怖い!」
触るのも見るのも嫌だという方が居ます。
確かに日本刀は、武器です!しかし、現在武器としての斬れ味だけを追求して古来からの日本刀の掟から大きく外れている物を日本刀と呼ぶことが出来るかの判断は私には出来ません。
美術的要素だけを追求して武器として使えない日本刀も同じだと思います。

日本刀は、折れず、曲がらず、良く斬れ、美しく、そして精神美の加わった物であってほしいと私は思います。

日本刀を怖いと思われる方は、日本刀を人を殺める武器としての側面からだけではなく、少し違う角度から見て頂けたらと思います。

包丁も使い方次第で、美味しい料理を造る事も、人を傷つける事も出来るのですから。



人生の中の日本刀 物が物を越える時




私にとって、特別な日本刀があります。 その日本刀との出会いは、私がまだ幼かった頃の祖父の家でした。私が遊びに行くと、祖父は決まってその日本刀を出し、その日本刀の手入れを見せてくれました。そして、その日本刀の思い出を私に語ってくれたのです。
貧乏な家庭で育った祖父でしたが、学業が優秀だったので本家の叔父の援助で現在の山口大学機械科へ進学しておりました。しかし、ついに祖父の所にも軍隊への招集がきました。本家の叔父は、祖父の身を案じ、御守り刀として先祖伝来の日本刀を持たせてくれました。 しかしその後すぐ終戦になり、祖父は七九歳になるまで、その日本刀と共に平穏に過ごしました。
祖父は、子供だった私に、その日本刀の手入れをしながら、お世話になった本家の叔父さんのこと、自分の父親のこと、先祖のことなどを話してくれました。子供だった私は、祖父が話してくれる物語をとても楽しみにしていました。そして、会ったことの無いその物語の登場人物すべての人に、親しみを感じ、まるで会ったことがあるかのような錯覚を覚えました。今、祖父が大切にしていたその日本刀は、私の手元にあります。 祖父の枕刀となり祖父の最後の歴史を刻み、私が次の主となり受け継いでいます。 私はその日本刀と対峙すると、祖父を思い出します。そして、祖父を思い出すたびに、祖父がお世話になった本家の叔父、その先のご先祖様まで、まるでそこにすべてが存在しているかのような気がします。  将来、祖父が私に語ってくれたように、自分の子供達にも、その日本刀を通して私の想いや物語を語りたいと思っています。 そして子供や孫にとっては、私もその中の登場人物になり、長い歴史の中で、私、両親、祖父母・・・私達が存在していた、私達の想いが存在していた証拠として、この日本刀が未来の大切な私の家族の支えになってくれることを硬く信じています。
 刀鍛冶の世界に足を踏み入れるまでは、日本刀は一部の愛好者だけのものと思っていました。また、刀鍛冶が平成のこの世に存在している事も知りませんでした。
「今でも日本刀を造るの?」「誰が日本刀を注文するの?」と、驚かれる方ばかりです。
私に注文して下さった方は、ごく普通の方ばかりです。 しかし、全ての人がそれぞれの特別な想いや物語をお持ちです。そして、それぞれの物語を、次の世代へ遺す為に、私へ想いを託してくれました。 私は、祖父が私に遺してくれたような物語いっぱいの日本刀を、多くの皆様にも所有して頂きたいと願っています。


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