日本刀の茎(ナカゴ)には、作者の名前や製作年月日、お客様の名前など、様々な文字が入っています。
赤丸がナカゴです。
刀鍛冶は、ここに名前を入れるのが最後の仕事です。
この作業を、銘を切ると呼びます。
皆さんは、銘を掘っているのだと思っていませんか??
実は、掘っていません。なぜならば、掘っていないので銘を切っても鉄クズが出ないからです。
ではどうやって銘を入れているのでしょうか?
この銘切りタガネという道具を使って入れます。
銘切りタガネの先はこのように尖がっていて、これを槌で叩くことによって、鉄の表面に切り込みを入れて窪みを作って名前を入れているのです。
赤いのがタガネの先端をイメージしています。鉄を切り裂いてタガネの先端が進んでいくので、両端は少し盛り上がります。
裏表に銘を切るので、裏を切っているときに、先に切った表の銘が傷まないように鉛の台の上で切ります。この台は、銘切り台と呼んでいます。
鉛は柔らかいので銘が傷みません。
刀などの鎬造りの作品は、銘を切るときに鎬にかけて切る事が多いです。
理由は、銘を消されないためです。掘っていないという事は、体積が変わらないので銘は叩けはある程度もとの銘の無い状態に状態に戻ります。鎬の上に切ることで、銘を消されないようにしています。