私の刀鍛冶として初の作品です。
この短刀は、大好きな祖父の為に製作しました。
祖父が生まれ育った実家の山へ行き、本家のおじさんに手伝ってもらい山の赤土を掘り、その土を使いたたら製鉄をして、日本刀の材料である玉鋼を製作しました。
祖父の堅実な人柄を表すために、直刃の短刀の製作を決めました。
祖父の実家の田んぼの下の粘土を掘って、乾燥させ、粉にして、不純物を取り除き、その粘土を焼き入れに使いました。
初めての粘土で、気に入った刃文がなかなか入らず苦労しましたが、最後はしっかりまとまった刃文が入りました。
祖父の子供は娘だけで、祖父の家の名字を継ぐ人はいません。
ナカゴ(持つところ)には、祖父の名字を、「為犬飼家」と入れ、祖父、祖母の事をこの短刀に込めました。
今年祖父は亡くなり、この短刀は祖父の枕刀になりました。
祖父の思い出を、この短刀と一緒に私の子供に伝え遺したいと思います